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             聴  法  録  126

聴法録126-1
緘黙の利益
手に休憩を与えるよりも、舌に多くの休憩を与えよ。

緘黙は、能弁よりも良き答弁なること多し。

話し始める前に、先ず、七度舌を動かすようにせよ。

いうかいうまいかと躊躇する場合には、沈黙を守ったがよい。

多く語る職人の仕事は下手だ。智ある職人は語るよりも仕事を好む。為し得る程度以上の約束をしなかったらどうか、と心を労する人は決して違約をしない。そして、仕事を励む人は、必要以上を語らないものだ。

余は、終始賢者の膝下にあったが、、緘黙に勝るものを遂に発見し得なかった。

緘黙すること百回のうち、残念に思ったのは、唯の一回、余の九九回は、実に快心であった。


善の行為を、他人に予告することは、その実行力を鈍らす結果になる青年時代の意気、抱負を人に話さずにはいられないものだ。然し、後年、これを回願すると、蕾のうちに手折られ、地上に棄てられたまま蹂躙された花の事を思い出さずにはいられない。

言葉に必要なのは錠前である。若し談話が無益だと考えたら、直ちにこの錠をかけ一語も喋るな。

一人でいる時には自己の罪を数え、人々と共にともにある時には、彼らの罪を見逃せ。

語りたいと思った時は、先ず、何故語りたいか、どんな利益があるのか、それは自己のためか、他人のためかを反省せよ。若し、「自己のため」という答えを得たら、沈黙を守るがよい。愚かな者のためには、緘黙が殊に利益を知る人は、賢い人だと言えよう。

如何に語るべきかを学ぶより、如何に黙すべきかを学べ。

汝の語る言葉は、常に緘黙より貴くなくてはならない。

老子曰く、「多く語るものは多く誤る」喋った一語に一銭の値があれば、黙った一語には二銭の値がある。賢者に緘黙を貴いものとするならば、愚者には一層貴いのである。
聴法録126-2
言葉を慎む利益
働く時に言葉が少ないと、仕事ははかどる。

人の悪口を止めよ。そうしたら、心のうちには愛と安静とが増し、発展と幸福とを、体験するだろう。

人の欠点を隠して、その長所を讃えるのは、愛の証左であり、又、人から愛される最も良い方法である。

人間の幸福は、愛し合うことによって実現する。人を罵ることは、愛の関係を破壊するものだ。