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| 聴 法 録 180 |
聴法録180-1
「死を忘れるな」
死に直面すると、私達の生涯は荘厳になる。そして、その生涯は有益になり、喜び多きものとなる。
死に直面していることを感ずれば、計画した仕事を実行せずにはいられない。この場合は、誠を以って、熱心に仕事を行なう外に方法がない。仕事に熱中していれば心は何の野心も持たず、常に喜びが満ち溢れて、死の恐怖など入り込む隙が無くなる。
何時でも、或いはたった今でも、この命と別れなくてはならないのだ。と考えよ。そして、今日以後の生き残った日を、予期しない拾いものだと思うがよい。
生命が続く限り、永久に生きていられるのだと信じて働け。そして、直ぐ死に行くように次の仕事に移れ。
常に死に直面している覚悟があれば、仕事は敏速に好結果に終わる。そして、仕事は、何時でも締めくくりがついているようにせよ。
人間の仕事のうちで、愛の行使だけが、唯一つ生死に関係なく存在しているのだ。
死を全く忘却した生涯と毎瞬間、死に直面していると考える生涯とがある。前者は動物的で、後者は精神的である。
苦しみなく生きていこうと思うならば、先ず将来の喜びに希望を持たねばならぬ。だが、喜びの希望とは何であろう。私達の将来は、死衰と死のみではないか。では、私達は一体どうしたらよいであろう。この場合は、自己の生涯を、肉体の幸福にありとせず、真実の生命の幸福にあるのだと考えよ。私達の目的は、学者となり、富者なり、高位高官の人となるのでなく、善を確立して、豊かな愛に立脚するにあるのだ。この行為に熱中していれば、老衰や死は、私達の意識外のものとなって、生涯の苦汁は消え失せる。
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