聴  法  録 339

聴法録339-1

完成と言うことについて

人間が、神の如き完成に達する事は不可能である。
しかし人間は、次第次第にその境地に近づくために常に努力しなければならない。その道を歩いてゆくことは、遥かな昔から人類に対して命じられていたことであるこれは棘の多いそして苦しい道である。この道を一足歩く毎に、苦悩に出会う。しかしこの道は、やがて結ぶ果実の為に慰安と幸福とを与えてくれる道である。その果実の中の最後のものは、同胞愛、そして地上における平和と愛との王国である。その時、終局的な偉大な統一が来るのだ。しかしこの統一とは、取りも直さず一つになったらあらゆる存在のより以上に困難な交際である。即ち一人一人の人生とすべてのものの人生との合流である。その故に、この統一を実現させるためには、すべての人が、この統一が要求する限りの程度に於いて「自分自身」を追放するよりほかの方法はないのである。統一を破壊し離反せしめるよりほかの方法はないのである。この点に、聖書のあらゆる教えは存在している。聖書の教えは、すべて慈愛の中にある。神とあらゆる神の創造物に対する広き愛の中にある。そして神は、そのすべての創造物を何よりも先にこの方面に於いて異なるのだ。人間の利己主義からは、傲慢、利欲心、官能の満足、嫉妬、憤怒、不和を生む。しかしその中心に神が存在する所の人類の感情からは、自己否定、親切、犠牲、精神的な平和を生む。純粋の喜び、そして、地上的な情欲を未来の幸福に対する確実な保障に転化せしめるところうの希望を生む。
しかしこう言うことを記憶しなければならない。即ちこの真実の大秩序の道を遠く進んでゆけばゆくほど、そしてこの道を他の人々にも歩かせようと努力すればするほど、過去の支配に屈従しきった人々の妨害にますます多く出会うであろうと言うことを記憶しなければならない。その人々は貴方を増悪しそして次ようなことを仕向けるであろう。即ち、貴方を種々の拷問の席上に引き回しそして芽生えようとしている善を押しつぶすためにーーその善こそあなたが自分の周囲にまこうとした種子であるのだーーそしてその人々が奉仕している悪の道を続けるために、貴方を牢獄の中にぶち込むであろう。この神聖な戦いに負けないために、貴方の心を堅固にしそしてあなたの勇気を強く保てよ。この戦いを、貴方が受け継いだ遺産の中の最も大切なものと考えよ。休息は闘いの後に得られるものだ。そして闘いは、かく言い得る日まで続くであろう。「神は勝った。神の王国は地上に打ち立てられた。神の子供たちは、母国を得た」と。

理知ある人々は、この世の目的は、一切の存在の果てしなき覚醒と結合とにあると考えている。それに向かって人生は進行しているのである。そしてその中に、最初は人間が、しかし後には一切の存在物が、次第に理知の法則を受け入れつつ、全て一様に次の如きことを理解しなければならないことに気がついてくるのである。即ち人生の幸福は、各人が個人的な幸福を得ようと努めることの中にあるのではなく、理知の法則に従いつつ各々の存在が、他のすべての存在の幸福を得るために努めることの中にあるのだと言うことに気がついてくるのである。