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| 聴 法 録 410 |
聴法録410-1
獣的傾向に生命はない。
自己のことのみを考え、自分だけの利益に汲々たるものは幸福を得る時がない。永世を願うならば、先ず、他人のために尽力せよ。
内在する真実の生命の生涯の為に、肉の生命を棄てることは全く必要である。肉の欲望に囚われた人の汚濁した生涯を見よ。人間の真生命は、獣的生涯を避けて浄化した瞬間から始まる。
人は自己の使命は認めるが、その個性を善に修正しようとはしない。この状態を家の中の錠前は持っているが、入口の錠前を待たぬ人に例えることが出来る。
克己ということは、肉の享楽に矛盾するものである。だから、人間の崇高な使命と享楽とを混同すると、心の活動力を失い、享楽の念は猛然と威力を発揮し、徳義的の生涯は全くその力を失ってしまう。
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聴法録410-2
或る国に大干魃があった。大小の河川はまたたく干上がり、井戸水さえも涸れきって、草木は勿論、人畜の餓死も数知れなかった。この国の一つの村に、病める母とその娘が住んでいた。娘は、病母に水を飲ませたい一心から、木彫りの小バケツを下げて水を探しに出かけた。どこを探しても、一滴の水すらない。 尋ねあぐんだ娘は、広い牧場の一隅に疲れを休めているうちに、いつしか眠ってしまった。しばらくして目を覚ますと、不思議なことに、溢れんばかりの水が小バケツに満ちている。娘はこれを見て大変喜んだ。
「私も少し飲みたい」と思ったが「いやそれはいけないこの水は御病気の母上に飲ませなければ‥‥‥」と考え直して小バケツをしっかり抱きしめて家路を急いだ。 心せくまま、足元に気を付けなかったので路地に寝そべっていた犬につまずいてしまった。 犬は驚いて吠えた、娘は狼狽して小バケツを投げ出したが、小バケツは割れもせず、水もこぼれずに真直に立っている。この奇跡に喜んだ娘は、手に水を少し受けて犬に飲ませようとした。驚いて吠えながら逃げ出した、犬も水を見ると尾を振って彼女に近づき、夢中で水を飲んだ。
それから娘は小バケツを手に取ると、木製のワクがにわかに銀に化した。家に帰った彼女は、早速、病床の母に水をすすめた。母はこれを見て喜んだが「私はこの大病、どうせ助かるまい。お前はこれからだ、その大切な水は飲みなさい」といって、貴い水を愛児に飲ませようとした。と、その瞬間に、純銀の小バケツが忽ち純金になってしまった。
「それではお母様お先に‥‥‥」せっかくの母の勧めに、娘は小バケツに手をふれんとした。ちょうどその時、家の入り口に旅人が来て、「のどが渇いてどうにもならぬどうか水を飲ませて下さい。」と頼んだ。その旅人の言葉に、娘は生唾を飲み堪えて水を進めた すると黄金の小バケツの銅帯に七個の金剛石が現れ、燦然と輝き、どくどくと清水が噴出したのであった。その後。この七個の金剛石は天高く登り七曜星となった。今でも天の一角にこの星は千古の光を放つている。 |
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